土地を所有しているけど、なかなか売れずに困っている人も多いと思います。売れない土地は所有しているだけでも、固定資産税が毎年かかるもの大きなリスクです。そのため売れない土地は放置せず、売れない原因を分析して手放す必要があります。
この記事では、土地が売れない原因をはじめ土地を手放す方法や、いらない土地を所有し続けた場合のリスクについて解説していきます。
売れない土地「負動産」とは?
「負動産」とは、所有しているだけで負の財産になってしまう不動産のことです。負動産は売るに売れず、管理するだけでも手間や費用がかかったり、固定資産税もかかったりします。
近年では少子高齢化が進み、東京のような都心部以外の土地となると、今後は不動産流通が良くなる兆しがありません。地方や田舎の土地は不動産流通が鈍り、売れない地域は不動産の過疎化が進みます。
負動産は不動産流通が鈍った地域で発生しやすく、貸しても借り手がつかなかったり、売却が困難になったりします。
土地が売れない原因①ニーズが合わない問題
土地が売れない大きな原因は、買い手にとってニーズが合わないことが挙げられます。つまり、需要と供給のバランスが悪いということです。たとえば立地が悪かったり、土地が狭すぎたり広すぎたり、それに対して売却希望額が高いことが挙げられます。
立地が悪い
立地が悪い、つまり土地需要が低い土地は、なかなか購入希望者が現れません。たとえば駅や市街地まで離れているなど、利便性が悪い地域は買い手がつかない可能性が高いです。また、土地の周辺に墓地や線路、高圧線の鉄塔などがあると買い手が敬遠してしまいます。
土地が狭すぎる、または広すぎる
土地が狭すぎる、また広すぎる場合は買い手がつきにくいです。また不整形地のような、三角形や細長い形状などの歪な地形も、なかなか買い手がつきません。
土地が必要以上に広いと、購入費用や固定資産税が高くなるため、買い手がつかないことがあります。
売却希望額が高い
所有する土地の売却希望額が高すぎると、購入者は現れません。周辺に同等の条件で安い土地があれば、買い手はそちらの土地を購入します。また、価格の割に土地需要が低かったり、立地が悪かったりした場合も同様です。
売却希望額の設定は、周辺の土地の売り出し価格を参考にしましょう。不動産ポータルサイトや、不動産取引価格情報検索等で調べることができます。
土地が売れない原因②リスクが高い問題
買い手のニーズが合わない以外に、土地が売れない原因としては、土地のリスクが高いことが挙げられます。
具体的には、以下の4つが買い手にとってリスクの高い土地です。
- 土地の境界があいまい
- 災害リスクが高い
- 地中に埋設物がある
- 土壌汚染の可能性がある
土地の境界があいまい
隣地との境界が未確定な土地は、買い手がつきにくくなります。土地の境界が未確定であいまいなままだと、将来的に隣人とトラブルになるリスクが高いからです。
このような土地を売却したい場合は、まず専門家である「土地家屋調査士」に依頼し、隣人の立ち合いのもと、境界を確定させなければなりません。
境界が未確定な土地を売却する場合は、土地家屋調査士に依頼して隣地との境界を確定する必要があります。
しかし、費用はおよそ30〜80万円ほどして、境界確定までに半年以上かかる場合も珍しくありません。
災害リスクが高い
災害リスクが高い土地は、買い手が購入を渋る場合が多いです。たとえば地盤が弱い土地や傾斜地、崖上・崖下に位置する土地は、災害が起こったときのリスクを考えると購入に踏み出せません。
日本は地震や台風など、災害が多い国です。建物を造っても、災害の際に大きな被害を受けやすい土地は、買い手から敬遠されます。
地中に埋設物がある
埋設物とは、地中に埋まっている建築資材等の廃棄物のことです。たとえば、既存建物のコンクリート片、屋根瓦などの建築資材、古い水道管や浄化槽などが挙げられます。
地中に埋設物があると、新しい建物を建てる際に基礎工事を阻害する原因になるため、なかなか買い手がつきにくいです。
仮に埋設物があることを黙認して、買い手に売却すると売主が責任を問われます。撤去費用や賠償金等を請求される可能性があるため、埋設物があることを隠して土地を売却することはできません。
土壌汚染の可能性がある
土壌汚染の可能性がある土地は、買い手に敬遠されてしまいます。具体的には、近所に工場やガソリンスタンドがある土地です。
実際に土壌汚染されているかどうかは不透明であり、健康に害を与えるかどうかは不明瞭です。しかしこのような土地は、心理的に購入を避けたいと考える人がいることも珍しくありません。
売れない・いらない土地を手放す方法
売れない・いらない土地を手放す方法は、以下の5つがあります。
- 売却条件や売却方法の見直し
- 土地の買取専門業者に相談する
- 相続放棄
- 譲渡・寄付する
- 国に返す(相続土地国庫帰属制度の利用)
売却条件や売却方法の見直し
土地が売れない原因が、買い手とのニーズが合わないことが問題であれば、売却条件や売却方法の見直しをしてみましょう。
不動産の売買は、需要と供給で成り立っています。立地が悪かったり、土地面積が狭すぎたり広すぎたりするのに、売却希望額が高いと買い手が見つかりません。
希望売却額を下げてみるのはもちろん、現在相談している不動産会社とは違う会社に依頼してみるのもおすすめです。
土地の買取専門業者に相談する
売れない・いらない土地を手放したい場合は、土地の買取専門業者に相談してみてください。土地の買取専門業者は、買い取った土地の商品価値を高めて活用するノウハウを持っています。
一般的に買い手がつきにくい土地でも買い取り、専門知識を活かして土地の運用や再販売をしてくれます。
注意点としては、どこの買取業者に依頼するかによって、売却結果が異なるところです。また、最初の査定額と実際の買取価格を、大きく変えるような悪質な買取業者もなかには存在します。
そのため、土地の買取専門業者に依頼する際は、3〜4社に買取査定をお願いして比較してください。また、担当者が信頼できる人物かどうかを見極める必要があります。
相続放棄
売れない・いらない土地を子供や孫に遺したくない場合、また親から受け取った土地がいらない場合は、相続放棄を検討してください。
相続放棄とは土地や現金などのプラスの財産に加えて、借金といったマイナスの財産を放棄する手続きです。
いらない土地は、相続放棄をすることで手放すことができます。一方で現金や株といった資産も相続できなくなるなど、いくつかデメリットや注意点があるので気を付けてください。
相続放棄のデメリットや注意点
- 預貯金や株など、プラスの財産も相続できなくなる
- 死亡保険金、死亡退職金の非課税枠が使えなくなる
- 自分が相続人であると知ってから、3ヶ月以内に家庭裁判所に申立て手続きをする必要がある
- 相続した財産を使用すると、相続放棄が認められなくなる
- 相続放棄をすると、次の順位の相続人に相続権が移る
- 相続放棄が受理されると、原則として取り消すことが不可能になる
国に返す(相続土地国庫帰属制度の利用)
相続放棄を選択せず、とにかくいらない土地を手放したい場合は、相続土地国庫帰属制度の利用を検討してみましょう。
相続土地国庫帰属制度とは、土地の所有権を取得した相続人が土地を手放して、国に返せる制度のことです。相続放棄と異なり、いらない土地のみを手放せます。
注意点としては、制度を利用できる土地の要件が細かく決められており、管理費用10年分相当の負担金を納めなければいけません。
相続土地国庫帰属制度の要件や注意点については、法務省のサイトから確認できます。
譲渡・寄付する
無償で良いから、とにかく土地を手放したい場合、誰かに譲渡・寄付することができます。譲渡・寄付の相手は自治体や法人、近隣住民などが対象です。
しかし、買い手が見つからない土地の場合、自治体や法人が寄付を受け付けてくれる可能性は極めて低いです。
そのため、いらない土地を譲渡・寄付する場合は、近隣住民が対象になってきます。たとえば住宅地にある土地を手放すのであれば、隣の家の住民に引き取ってもらえるか確認しましょう。
近隣住民に土地を譲渡・寄付した場合、受け取った側に贈与税がかかるため、税金の話も焦点になります。
売れない・いらない土地を放置した場合のリスク
売れない・いらない土地を手放す場合は、どの方法を選ぶにしても手間や時間がかかります。そのため面倒に感じて、土地を手放さずに放置してしまう人もいるかもしれません。
しかし、売れない・いらない土地を放置した場合は、様々なリスクが発生します。具体的には以下の3つになり、手放すよりも面倒なことになるので注意してください。
- 固定資産税がかかる
- 管理に手間・費用がかかる
- 近隣住民とのトラブルに発展する
固定資産税がかかる
土地は所有しているだけで、固定資産税が毎年かかります。それは、買い手がつかないような売れない土地も同様です。土地の立地や広さによっては、年間で数十万円近い固定資産税がかかります。
また空き家管理が悪く、「特定空き家」や「管理不全空き家」として行政に指摘されると住宅用地の特例外となり、固定資産税が最大6倍になります。
管理に手間・費用がかかる
土地は管理が必要であり、管理を怠るとさらに買い手がつきにくくなったり、住宅用地の特例外で固定資産税が最大6倍になったりします。
土地を放置することで雑草が生え、誰かが不法投棄をすると、見学に来た買い手が購入を渋る可能性があります。
近隣住民とのトラブルに発展する
土地の管理を怠ると、近隣住民とのトラブルに発展するリスクがあります。雑草や木が伸びて害虫が発生すると近隣住民の迷惑になったり、老朽化した建物が倒壊してしまうと歩行者が怪我をしたりします。
状態の悪い土地はゴミが不法に投棄されたり、古びた建物は犯罪者が侵入して犯罪に悪用されやすかったりといったリスクが高いです。
まとめ
今回は、土地が売れない原因や手放す方法、いらない土地を放置し続けた場合のリスクについて解説しました。
土地が売れないのには、何らかの原因が存在します。まずは原因を追求し、その上で適切に手放せる方法を選択するようにしてください。