キッチントレーラーとは?価格やメリット・デメリット、キッチンカーとの違いを解説
キッチントレーラーは、移動販売の新しいスタイルとして注目されている牽引型の調理設備付き車両です。
キッチンカーと比べて、企画の自由度やデザイン性が高く、おしゃれな外観で集客力を高めることができます。
販売形態としてはイベント出店や観光地での営業に適しており、メリットとしては維持費の安さやカスタマイズ性の高さが挙げられます。一方で、牽引免許の取得や初期費用の負担など、デメリットも存在します。
今回の記事では、キッチントレーラーの特徴や価格、維持費、キッチンカーとの違いについて詳しく解説します。
キッチントレーラーとは?
キッチントレーラーとは、車両に牽引されて移動できる調理設備付きの販売車のことを指します。
キッチンカーとは異なり、エンジンを持たないため自走はできません。そのため車で牽引することで、イベント会場や商業施設などへ柔軟に出店することができます。
内部には業務用の調理機器が備え付けられており、電気・ガス・水道設備も整っているため、本格的な料理の提供が可能です。
外観は木目調やレトロ風など、個性的でおしゃれなデザインが多く、店舗としての魅力を高める要素にもなっています。
移動販売の自由度と店舗のような設備を兼ね備えたキッチントレーラーは、屋外営業やイベント出店を検討する事業者にとって注目の選択肢です。
キッチントレーラーの使い道と使用場所

キッチントレーラーは移動販売の自由度が高く、用途や設置場所に応じて柔軟に活用できます。牽引式のため自走はできませんが、設置後は安定した営業が可能です。
| 【使用用途の例】 |
|---|
| ・地域イベントやマルシェでの飲食提供 ・観光地でのご当地グルメ販売 ・住宅展示場やモデルハウスでの来場者向けサービス ・企業の福利厚生としてのランチ提供 ・キャンプ場でのアウトドア向け軽食販売 |
| 【使用場所の例】 |
|---|
| ・スーパーなど、商業施設の駐車場や広場 ・道の駅や観光拠点 ・屋外イベント会場 ・海水浴場や公園などのレジャー施設 ・オフィス街の空きスペース |
キッチントレーラーのメリットとデメリット
こちらでは、キッチントレーラーのメリットとデメリットについて解説していきます。
キッチントレーラーのメリット
キッチントレーラーの最大の魅力は、内装や外装のカスタマイズ性の高さです。
| キッチントレーラーのメリット |
|---|
| ・内装や外装のカスタマイズ性が高く、おしゃれにできる ・車両とキッチン部分を切り離して移動できる ・キッチンカーと比較すると維持費が安い |
木材やアイアンを使った装飾でカフェ風に仕上げたり、ブランドイメージに合わせたデザインにカスタムしたりして、店舗としての個性を強く打ち出せます。
また、牽引式の構造により、キッチン部分と車両を分離して移動できるため、出店先での設置や撤収がスムーズに行えます。
さらに、エンジンを持たない分、車検やメンテナンスの負担が少なく、キッチンカーに比べて維持費を抑えられる点も事業者にとって大きなメリットです。
キッチントレーラーのデメリット
キッチントレーラーは魅力的な移動販売手段ですが、導入にあたっていくつかの注意点があります。
| キッチントレーラーのデメリット |
|---|
| ・運転に慣れる必要がある ・トレーラー本体にも車庫証明や車検証が必要 ・キッチンカーと比較して初期費用が高くなる |
まず牽引式であるため、運転には慣れが必要です。特にバックや狭い場所での移動には技術が求められ、初心者には難しく感じることもあります。
また、車両とは別にトレーラー本体にも車庫証明や車検証が必要となり、手続きが煩雑になる傾向があります。
さらにキッチンカーに比べて、初期費用が高くなる点も見逃せません。牽引車両の準備や設置設備の充実を考慮すると、開業時の資金計画には余裕を持つことが求められます。
キッチントレーラーとキッチンカーの違いとは?
移動式の飲食店を始めたい人にとって、キッチントレーラーとキッチンカーのどちらが良いのか、選択肢を迷う場合があります。
こちらでは、キッチントレーラーとキッチンカーの違いについて、価格・仕込み・移動の3点で解説していきます。
価格
キッチンカーの場合、軽トラックくらいのサイズとなると、新車で300万円前後、中古だと100万〜300万円ほどで購入できます。
キッチントレーラーの場合、小型車であれば150万〜200万円ほどで購入できます。サイズが大きくなると、さらに高額な費用が必要です。
またキッチントレーラーは、牽引するための車両が別途必要となるので注意してください。
仕込み
キッチントレーラーは仕込み場所を必要としない場合が多く、衛生管理や保健所対応の点でキッチンカーと異なります。
キッチンカーはスペースや設備が限られているため、営業前に食材の下処理や調理を行う「仕込み場所」が必要とされることが一般的です。
一方、キッチントレーラーは、調理設備が充実しているため、営業許可を取得した車内で仕込みから提供まで完結できます。そのため、仕込み場所を用意する必要はありません。
特に保健所の許可を得る際には、衛生基準を満たした施設での仕込みが求められ、地域によっては営業許可の条件に仕込み場所の登録が含まれることもあります。
食品衛生法の改正以降、給排水設備や調理工程の管理が厳格化されており、キッチンカーでは衛生面のリスクを避けるためにも、仕込み場所の確保と運用が重要です。
キッチントレーラーはその点で衛生管理がしやすく、保健所対応も比較的スムーズに進められる傾向があります。
移動
キッチントレーラーとキッチンカーでは、移動方法に大きな違いがあります。キッチンカーは自走式で、サイズは軽トラック型が主流なため、普通免許で運転することができます。
一方、キッチントレーラーは牽引式で、車両に連結して移動するため、750kgを超える場合は牽引免許が必要です。
牽引免許が不要な軽量タイプもありますが、調理設備や水回りを充実させると重量が増すため、営業スタイルによっては免許取得が前提となる場合もあります。
また、牽引時の運転にはコツが必要で、特にバックや狭い場所での取り回しには慣れが求められます。
移動の自由度は高いものの、運転技術や免許条件を事前に確認しておきましょう。
キッチントレーラーで飲食営業する場合の必要書類や検査について
こちらでは、キッチントレーラーで飲食営業する場合の必要書類や検査、疑問点について、渋谷区の公式サイトを基に解説していきます。
※こちらの解説は、あくまで渋谷区の基準です。他の地域で営業をする場合は、必ずその地域に詳しくお問い合わせしてください。
必要書類
キッチントレーラーやキッチンカーを使って、飲食営業をする場合、必要書類は次のものを用意してください。
| 【必要書類】 |
|---|
| ・営業許可申請書、営業届 ・施設の構造及び設備を示す図面(2部) ・水道水、専用水道、簡易専用水道以外の水を使用する場合、水質検査成績書の写し(1部) ・営業の大要(2部) ・法人の場合、登記事項証明書(1部) ・食品衛生責任者の資格を証明するもの ・自動車検査証 ・仕込場所に許可がある場合、営業許可書 ・営業許可申請手数料(自動車で飲食店営業する場合は18,300円) |
出典:自動車の営業許可申請(新規)について | 食品衛生(事業者向け) | 渋谷区ポータル
事前の打ち合わせや検査について
キッチンカーやキッチントレーラーで飲食営業をする場合、使用する車両については、事前の打ち合わせや検査が必要です。
主な流れは、次の通りになります。
①:施設検査の打ち合わせをする
飲食営業で使用する自動車(キッチントレーラー、キッチンカー)は、保健所にて検査を実施します。事前に電話にて、検査日時を調整してください。
②:駐車場を予約する
営業車が高さ2.8メートル以下の場合は、職員が、渋谷区役所地下2階の駐車場を予約します(渋谷区のケース)。
③:検査当日
検査当日は、許可を取得する自動車で来所していただき検査を行います。給水、排水ができることを確認しますので、給水タンクに水を入れてきてください。また冷蔵や冷凍設備、換気扇などの設備が稼働することを確認しますので、ご自身で電源装置を用意してきてください。
検査当日は、営業者本人(法人の場合は社員など)が立ち会って検査を行います。
施設基準に適合していた場合は、その場で「営業許可書交付予定日のお知らせ」が渡されます。施設基準に適合していなかった場合は、不適事項を改善し、再検査を受けてください。
出典:自動車の営業許可申請(新規)について | 食品衛生(事業者向け) | 渋谷区ポータル
役所の人に疑問を聞いてみました!
こちらでは、キッチントレーラーで飲食営業をする際の疑問点について、渋谷区の窓口に問い合わせをして質問しました。
Q.キッチントレーラーの場合、牽引される車両(トレーラーの部分)は、牽引する車両と切り離して単独営業できますか?
A.営業する際は、車両を常に連結させたまま行わないといけません。
牽引される車両は、道路運送車両法に規定する自動車に該当します。しかし、単独では移動ができないため営業車に該当しません。そのため、車両を常に連結させて営業をする必要があります。
Q.キッチントレーラー内に「仕込み場所」を設けたり、「簡易な調理」を超えた作業を行ったりする際、注意点はありますか?
A.配水用・給水用のタンク(容量200リットル以上)が、それぞれ必要になります。
「仕込みに該当する行為」「簡易な調理」とは、次のような行為を行うための施設です。
| 【仕込みに該当する行為】 |
|---|
| ・自動車で取り扱う食品の調理、包装など ・器具などの洗浄、消毒 ・給水タンクへの給水 ・食品、容器包装などの保管 |
| 【簡易な調理】 |
|---|
| ・原材料の混合、加熱 ・調理加工済食品のカット、加温等 ・提供直前の小分け、盛り付け等 ・作業中の一時的な洗浄、消毒 |
※仕込みに該当する行為や、大量の水を要する行為(半製品の調製、成形、原材料の洗浄、
カット等)は、簡易な調理を超える行為です。
※たとえば、ソフトクリームフリーザー等の機械による調理は、簡易な調理を超える行為にあたります。
Q.外部からの電源や給排水を、車両に接続して使用することは可能ですか?
A.外部電源や給排水を補給などの目的で、一時的に使用することは可能です。ただし、給排水を直結する場合は、タンクを汚染しないよう取扱いに留意してください。
なお、このように営業する場合でも、それらを切り離し、速やかに移動できる状態で営業する必要があります。電源や給排水の接続により、固定化することがないように注意してください。
Q.コンロやフライヤーなど火を使用する場合、何か注意点はありますか?
A.消防署に防火の確認をしてください。
Q.拠点が神奈川県で、営業場所が東京都の場合、それぞれの保健所で許可が必要ですか?
A.東京都と神奈川県、それぞれの保健所での許可が必要です。
キッチントレーラーで飲食営業をする場合の疑問点については、渋谷区保健所のページと合わせて参考にしてください。
※こちらの解説は、あくまで渋谷区の基準です。他の地域で営業をする場合は、必ずその地域に詳しくお問い合わせしてください。
※詳しい内容については、役所や保健所に都度確認しましょう。
※食品衛生法の手続については、行政書士に相談してください。
まとめ
キッチントレーラーは、キッチンカーとは異なる魅力を持つ移動販売のスタイルです。
価格や維持費、企画の自由度、見た目のおしゃれさなど、さまざまな観点からメリットとデメリットを理解することで、自分に合った選択がしやすくなります。
用途や営業スタイルに応じて、最適な一台を見極めることが成功への第一歩です。