トレーラーハウスでトイレやお風呂は使える?下水道接続、浄化槽設置について

トレーラーハウスでトイレやお風呂、キッチンなどの水回りを問題なく使うためには、「下水道の接続」か「浄化槽の設置」が必要です。
下水道が整備されている土地に、トレーラーハウスを設置する場合は、下水道へ接続して排水処理をすることができます。
浄化槽設置による排水処理は、下水道が整備されていない地域や自然豊かな場所でも、安全かつ環境に配慮した排水処理が可能です。
今回の記事では、トレーラーハウスの水回り作業に必要な、下水道の接続と浄化槽の設置について解説していきます。
トレーラーハウスでトイレやお風呂は使える

トレーラーハウスには通常の住宅と同様に、トイレやお風呂を設置できます。上下水道を接続することで、一般的な水洗トイレやお風呂と同様に使用できます。
お風呂の場合は、給湯器を設置することで、温水シャワーや浴槽を快適に使用できます。ガスの接続については、プロパンガスを使用するのが一般的です。
プロパンガスはガスボンベを設置して、トレーラーハウス内の給湯器やシャワー設備に接続します。ガスの接続も工具を使わずに着脱可能な仕様にすることで、移動時の利便性を確保します。
トレーラーハウスの排水処理方法
トレーラーハウスの排水処理方法は、「下水道の接続」か「浄化槽の設置」かのどちらかになります。
下水道の接続
トレーラーハウスを設置する場所に下水道が整備されていれば、下水道へ接続して排水処理をすることが可能です。
下水道に接続することで、排水タンクの清掃や浄化槽の維持管理が不要になり、日常的な手間が大幅に軽減されます。排水が直接下水道に流れるため、衛生的で快適な環境を維持できます。
ただし、トレーラーハウスを下水道に接続する場合、設置場所に下水道が整備されていることが前提です。
また、設置予定地の自治体に確認し、接続可能かどうかを事前に調査する必要があります。排水管の勾配や接続部の密閉性を確保することで、排水の流れをスムーズにし、悪臭や詰まりを防ぎます。
浄化槽の設置
浄化槽は、トレーラーハウスから排出される汚水を一時的に貯め、微生物の働きによって汚れを分解する設備です。処理された水は、環境基準を満たした上で河川や用水路に放流されます。
下水道が整備されていない土地では、浄化槽を使用することで排水を適切に処理することが可能です。
注意点として、浄化槽はどこにでも設置できるわけではありません。処理水を排出する河川や、用水路の管理者の許可がなければ設置できないです。
浄化槽を設置できるか知りたい場合、管轄の自治体の水道局に確認したり、環境行政の許可が必要だったりします。
また、浄化槽とトレーラーハウスの排水管は、工具を使わずに着脱可能な接続部品を使用しなければいけません。これにより、トレーラーハウスが「車両」としての条件を満たし、移動が容易になります。
【注意点①】排水処理方法は事前に自治体へと確認する

トレーラーハウスで発生する生活排水(トイレ・お風呂・キッチンなど)は、適切な方法で処理しなければなりません。設置場所の自治体ごとに排水に関するルールや施設が異なるため、自己判断で進めるのは非常に危険です。
たとえば、浄化槽の設置が必要とされる地域もあれば、公共下水道への接続が求められる場合もあります。また、浄化槽を使う場合でも、設置にあたっては「浄化槽設置届出書」の提出が必要で、管理・点検・清掃などの義務も発生します。
排水の取り扱いについては、市町村の「環境課」または「上下水道課」が窓口になることが多いです。事前に連絡を取り、次のような点を確認しておくと安心です。
- 現地が下水道地域かどうか
- 浄化槽設置の必要性と手続き
- 使用する排水設備の基準
- 汚水の処理後の流し先について
無許可で浄化槽を設置したり、排水処理を怠ったりすると、法律に抵触するおそれがあります。場合によっては罰則や改善命令が科されることもあるため、計画段階での確認が非常に大切です。
【注意点②】配管は工具なしで脱着式にする
トレーラーハウスにトイレやお風呂を設置する際は、配管を「工具なしで脱着できる仕様」にすることが大切なポイントのひとつです。
トレーラーハウスは、「移動できる建物」という特性上、固定された住宅とは異なり、いつでも移動や撤去が可能な構造である必要があります。このため、水回りの配管も、簡単に接続・取り外しができるように設計されていなければなりません。
特に、建築確認申請が不要な「車両扱い」としての運用を想定している場合、工具を使わないで配管が外せる構造であることが前提条件になるケースが多いです。これが守られていないと、建築物とみなされる恐れがあり、用途や設置の自由度が制限される可能性もあります。
実際に使われる接続方法は、次の3つです。
- ワンタッチ式のジョイント
- クイックカプラー(カチッとはめてすぐ外せるタイプ)
- ホースバンド式(ネジ締め不要のもの)
これらを使うことで、配管の接続・取り外しが簡単になり、移動時やメンテナンス時にも対応しやすくなります。
また自治体や設置環境によっては、移動可能性よりも排水処理や衛生面を重視するケースもあります。そのため、「配管の仕様」が自治体の基準に適合しているかも事前に確認しましょう。特に、浄化槽や下水道への接続が関係してくる場合は、施工業者とともに自治体に相談しながら進めることが安心です。
下水道の接続や浄化槽の設置は行政書士に相談を
下水道の接続や浄化槽の設置は、自治体への確認が必要です。設置については自治体ごとにルールが違い、多くの提出書類が必要です。
埼玉県越谷市を例に挙げると、トレーラーハウスの浄化槽設置には、次の必要書類を用意しないといけません。
- 浄化槽設置届書
- 浄化槽に関する調書
- 浄化槽に係る認定書(下記詳細)
※浄化槽法第13条第1項に規定する型式の認定に係る書類
※建築基準法第68条の10第1項に規定する型式適合認定に係る書類
※建築基準法第68条の26第1項に規定する特殊構造方法等認定に係る書類
- 浄化槽法第7条に規定される法定検査の依頼書の写し(手数料を支払い済みであることを証したもの)
- 現地案内図(現地住所付近の地図)
- 配置図(全てのフロア、配管及び浄化槽設置箇所、放流先が明記された図面)
正本2部、副本1部の計3部の提出となります。
手続きや必要書類の用意には労力がかかるため、トレーラーハウスの申請に精通した行政書士に、下水道の接続や浄化槽の設置をお願いするのがおすすめです。
また浄化槽を設置する場合は、専門の業者に工事を依頼します。業者によっては、トレーラーハウスの浄化槽設置に難色を示すケースがあります。そのため浄化槽の業者を探したり、設置の交渉をしたりするのは、素人だと難しいです。
トレーラーハウスの申請に精通した行政書士であれば、トレーラーハウスでも浄化槽を設置してくれる業者を把握しています。
行政の申請、業者との交渉もスムーズに進むため、トレーラーハウスのインフラ整備には、行政書士に相談するのがおすすめです。
まとめ
トレーラーハウスでも、排水処理さえできればトイレやお風呂は使えます。排水処理の方法としては、下水道の接続や浄化槽を設置するかの2パターンです。
インフラ整備には、事前に自治体へと確認・相談する必要があります。交渉や手続きには労力がかかるため、トレーラーハウスの申請に精通した行政書士に、申請を依頼するのがおすすめです。