行政書士インタビュー③「トレーラーハウスにおけるイレギュラーな対応」

行政書士インタビュー第3弾!
民泊許可、そしてトレーラーハウスの申請を行う行政書士の戸川大冊さんに、今回はトレーラーハウスにおけるイレギュラーな対応について聞いてみました。
自然公園法、市街化調整区域での申請
---許認可を取るのに苦労した話と言いますか、変わった対応はありますか?
行政書士・戸川:自然公園法は、厄介ですね。例えば、国立公園の中で許可を取らないといけないときとか。建築基準法とは、関係ないというスタンスなので。
【補足①】自然公園法とは? 自然公園法とは、優れた自然の風景地を保護することを目的として1957年に制定された法律です。 建築物の新築、改築又は増築について、厳しい基準が設けられています。 参考:国立公園内(普通地域を除く。)における各種行為に関する審査指針について | 法令・告示・通達 | 環境省 |
【補足②】市街化調整区域とは? 市街化調整区域とは、市街化を抑制する地域です。そのため、住宅や商業施設などを建築することは原則認められません。 |
---トレーラーハウスでも、市街化調整区域のお問い合わせが多いです。対応はやはり、各自治体によって異なりますか?
行政書士・戸川:そうですね、一括りにはできないです。
ただ傾向として、車両のサイズが小さいほど申請が通りやすいかもしれませんが、「絶対に大丈夫!」とは、言い切れません。
---なるほど。
行政書士・戸川:トレーラーハウスを、地面に降ろしたら絶対にダメです。シャーシの上に乗っていて、ナンバープレートが付いていて、サイズが小さいと申請が通りやすいかもしれませんが…絶対に大丈夫とは言い切れないです。
---交渉の際に対策はありますか?
行政書士・戸川:例えば、市街化調整区域で申請が通った実績を挙げて「これと同じだよ。」と言う…。
トレーラーハウスの場合は、あくまで駐車しているということですから。なので、事前に色々と理論武装して準備はしていきます。
営業後のトラブルについて
トレーラーハウスは申請を通して営業をスタートしたからといって、そのまま順風満帆に行くとは限りません。
場合によっては、申請後に行政から調査が入ることがあるようです。
営業後、自治体からのチェックはある?
---例えば申請が通って営業しました。その2〜3年後に、行政から調査が入ることはありますか?
行政書士・戸川:あります。2〜3年どころか、2〜3ヶ月後ですよね。
---許可したのにですか?
行政書士・戸川:例えば、旅館業というのは保健所の管轄じゃなくて、厚生労働省の管轄なんです。
だから、旅館業の許可っていうのは衛生面なんですよ。衛生面については、絶対大丈夫なんですけど…。
---具体的には、どんなところから調査が入りますか?
行政書士・戸川:建築系の部署からですね。
「これ車両って聞いてたけど、なんか実際定着してるんじゃないの?」「何年か経ったから、もう定着してんじゃない?」みたいな。
---なるほど。
行政書士・戸川:「なんか周りから色々と言われているしな。本当に定着してないのか確認したい。」という感じで。
---「周りから色々と言われている」と言うのは?
行政書士・戸川:プレスリリースを出すと、お問い合わせが来やすいみたいですね。
なので私は「プレスリリースを出す時期は考えてください。」と、アドバイスします。それでも、無視して勝手に出してしまう業者さんもいますが…。
まぁ、良くも悪くも反響がある、ということですけどね。
現地に行ったら、最終形態が変わっていることも
---行政からの調査が入ったら、やはり対応しますか?
行政書士・戸川:そのときは、私が代理人で行きます。
ただ、申請したときの図面と、現場での実状が変わっているときがありますね(笑)。
その場合も整理をして「もしも、少しでも条例に抵触することがあれば是正しますから。」と言って対応します。
---具体的に、どんなケースがありましたか?
行政書士・戸川:例えば、屋根の庇(ひさし)ですよね。つっかえ棒やポールなんかを使って、地面に立てると、駐車ではなく設置した状態になると見なされる場合があるので。
---申請するときには、それが無かったと(笑)
行政書士・戸川:そうです。実際に現場に行ったら「なんだ?これ。こんなの知らないんだけど。」というようなことが(苦笑)
---設備面で、気を付けておいた方が良いことってありますか?
行政書士・戸川:一番重要なのは、インフラのアタッチメントですね。それは汎用的な資料を作って、いつでも出せるように規格を統一しておかないと。
確認申請だと浄化槽も大変
---設備だと、浄化槽の申請はどうですか?
行政書士・戸川:浄化槽も大変ですね。
浄化槽の設備というのは、建物を前提としているので、建築確認と一体化しています。
人によっては確認申請する際に、確認事項がないというところを理解させなきゃいけない場合があります。初めての人だったら、全部説明しないといけません。
【補足③】浄化槽とは? 浄化槽とは、日常生活で生じた汚水やし尿を微生物の働きにより分解し、放流するための施設です。 参考:浄化槽とは – 大分県ホームページ |
---なるほど。結構骨が折れますね。
行政書士・戸川:あとは浄化槽の業者さんですね。
業者さんは建物しか知らないから、「確認支持してください。」みたいに言われます。
でも、トレーラーハウスだとできるわけないし。手続きしたとしても。通らないですしね。
堂々巡りで、20回くらいやり取りすることがあります。
---その場合は、どう対応しますか?
行政書士・戸川:もう、業者さんを変えるとかですね。
---トレーラーハウスの場合、なかなか大変ですよね。
行政書士・戸川:浄化槽の場合、最後に放流するのか浸透するかのどちらなんですけど、「水質汚濁防止法」の手続きもあるので大変です。
まとめ
申請が通って営業しても、2〜3ヶ月後に調査が入ることがあるようです。申請時とは異なる形態になっていると、そこに調査のメスが入るみたいですね。
また、浄化槽屋さんとのやり取りが難しく、エキスパートの戸川さんでも何回も話し合いを重ねるとのことでした。
次回は最終回!戸川さんの仕事のスタンスや理念について、話を聞いています。
インタビュー第4弾はこちら↓↓↓