行政書士インタビュー②「行政申請と許認可」

行政書士インタビュー第2弾!
民泊許可、そしてトレーラーハウスの申請を行う行政書士の戸川大冊さんに、今回はトレーラーハウスの行政申請と許認可について聞いてみました。
旅館業の許認可について
民泊許可を行う行政書士なだけあって、トレーラーハウスの行政申請は、旅館業が多いようです。
旅館業は申請を通すのが大変
---問い合わせは、全国から来ますか?
行政書士・戸川:全国から問い合わせが来ています。
---遠い地域の場合、手続きは遠隔でするものなのですか?
行政書士・戸川:旅館業は、遠隔ではできないですね。書類を出すだけなら遠隔でできますが、現地に行って状況を見ないといけません。
---というのは?
行政書士・戸川:旅館業は、申請を通すまでのハードルが結構高いですね。多分、一番高いのが診療所だと思いますが。
---診療所は、コロナの期間とかでレスキューコンテナみたいなものがありましたね。
行政書士・戸川:そうですね。
旅館業や診療所の場合、インフラも含めて全部コンテナで納めようとすると、構造設備基準をクリアするのは結構大変です。これはトレーラーハウスではなく、建物でも結構大変なんです。
旅館業の場合、許認可が取れないケースもある
---トレーラーハウスの場合、許認可を取るのは大変なんですね。
行政書士・戸川:旅館業で、たぶん許認可が取れない自治体もあります。
「確認申請を絶対出せ。」みたいな、建物を前提とした手続きの、建物以外認めないという場合ですね。
---そんなケースがあるんですね。
行政書士・戸川:それでも以前と比べると減ってきましたけど、ひと昔前の栃木県は結構そんな感じでした。
---ほう。
行政書士・戸川:コンテナハウスもそうですし、DIYハウスとか。そういうのの書類が取れないことが一時期あって…。
それが「トレーラーハウス、車両だったらどうするの?」みたいな話は、2018年より前にありましたね。
---ダメと言われる場合が多かった?
行政書士・戸川:ただ、最近は時代が変わってきたので、ある程度の地域はだいたい許可が取れますけど。
探したらね、頑なにダメっていうところはあるんじゃないかって気がしますよね。
飲食業の申請は、普通の営業許可だけで大丈夫だが・・・
---飲食業の場合はどうですか?トレーラーハウスも、普通の飲食店と同じ営業許可だけで大丈夫ですか?
行政書士・戸川:そうですね。普通の飲食店と許可は同じです。
---飲食店の営業許可は、自治体によって対応が違うことがありますか?
行政書士・戸川:違います。代表的なのが、フライヤーの設備が都道府県や市によって対応が異なります。
コンビニエンスストアにあるような。フライヤーがレジの後ろにあるような店舗と、別室に置いてある店舗があると思うんですよ。
---具体的には、どう対応が違いますか?
行政書士・戸川:「調理室を、ちゃんと壁を隔てて区分しなきゃいけない。」という自治体もあれば、そうでない自治体もあります。
一番厳しいケースだと、「扉のある別室での奥で、フライヤーを調理しないとダメ。」という自治体です。
そこまで厳しくないと、「レジの後ろでフライを揚げて、そのまま出しても良い。」という自治体もあります。
---自治体によって、そんなに違うんですね。
行政書士・戸川:ひと昔前は地方に行くと、全部ちゃんと壁を隔てて、ちゃんと別室でやらなきゃいけないとかっていうのはすごく大変だったって記憶がありますね。
---飲食業の許可も自治体によって対応が違うと。
行政書士・戸川:旅館業と比較すると緩いですけど、自治体によって対応が違うので、どこに行っても同じ構造で通せるというのは絶対にないですね。
各自治体によってルールは様々
---各自治体のルールや対応は、全部把握するのは不可能だと思うんですけど…
行政書士・戸川:そうですね。旅館業はだいたい頭に入っていますが、地方や初めて行く地域は条例を確認します。
---宿泊も全然違いますか?
行政書士・戸川:全然違いますね。
例えばトイレの手洗い、一番厳しいのはトイレの個室内に手洗いを設けること、これをクリアしないといけない地域です。
---反対に厳しくない場合は?
行政書士・戸川:そこまで厳しくないのは、手を洗うのがトイレのタンクの上で良かったり、扉を1つ隔てて脇に洗面所作ったりとか、それで申請が通る場合ですね。
---それは、法律という大元はあるけど、自治体によって解釈が異なる場合もありますか?
行政書士・戸川:解釈が異なるのもありますし、上乗せで条例を作ってるケースもありますね。
---上乗せで条例を作るというのは?
行政書士・戸川:解釈次第で対応するというのは、違法になることもあるので、条例を作るというのが一番健全ですよね。
---なぜ自治体によって、そんなにバラバラなんですか?
行政書士・戸川:地方自治体の究極的な観点から言うと、地域の実情に応じて良いということです。日本は広いし地域性があるので、その地域地域に応じて裁量権を行使するということになります。
まあ、でも本来はその地域に応じて条例を作って、法律とは別にちゃんと規定するべきなんですよね。
トレーラーホテルを購入する際に気を付けること
---現在、トレーラーハウスのホテルが増えています。例えば、同じ間取りで同じ設備で、どんどん同じトレーラーホテルを増やしたとしても、自治体によって使えないことはありますか?
行政書士・戸川:ありますね。
ただ、トレーラーホテルが増えていると言っても、よく見ると同じ都道府県で増えてるんですよ。
---なるほど(笑)
行政書士・戸川:ただ、やっぱり管轄が違うと担当者も違うので、結構温度差がありますけど。横展開する際に同じ都道府県だったら、申請を通すときの予測はしやすいですね。
---具体的には?
行政書士・戸川:例えば「軽井沢」ですね。
北軽井沢は群馬県で、本当の軽井沢は長野県で、なんとなくマーケティングとしては一緒かもしれないけど、自治体が違うので対応も異なると。
---東京都内には、そのような例はありますか?
行政書士・戸川:例えば都内で言うと、新宿駅の南口って渋谷区なんですよね。
だから「新宿エリア」と言っても、本町は住所は渋谷ですので、渋谷区と新宿区では対応が全然違う。
なので、なんとなくマーケティングで一緒だから地域が近いから、横展開してるなと思っても、それを敢えて同じ自治体にとどめてる場合もあるかもしれないですね。
---マーケティング的に同じエリアだとしても、住所が異なって自治体が違う場合があります。
行政書士・戸川:なので、私でしたらそういったアドバイスはできます。
消防法も自治体によって異なる
---ほかに、自治体によって異なるルールはありますか?
行政書士・戸川:消防法ですね。ちょっと副次的に絡んできます。
理論的には車両は、防火対象物になりようがないんですよ。でも、トレーラーハウスって建築っぽいので「準じてやってね。」というころもあれば、「別にいらない。」というところもあります。
---だいぶ違いますね。
行政書士・戸川:東京に住んでると、東京23区は東京都消防庁じゃないですか。だからなんかあんまり住んでる場所関係ない錯覚に応じてるんですけど、これ田舎に来ると市が持ってるんですよね。
もしくは、いくつかの自治体が組合作ってるんですよ。だから、同じ県内でもほんと無数にも何十ってあるから…消防法は本当に全然違いますね。
まとめ
トレーラーハウスは自治体によってルールが異なるため、申請は行政書士にお任せするのが安心ですね。
旅館業は申請が難しいみたいですし、飲食業はフライヤーの設置場所など、自治体によって対応が変わってきます。
次回は、トレーラーハウスを申請するときの、イレギュラーな対応について戸川さんに引き続き話を聞いていきます。
インタビュー第3弾はこちら↓↓↓