家族が増えてくると、余っている庭を活用して増築を考えている人もいるのではないでしょうか?増築には、現在ある自宅から部屋を増やす場合の増築と、現在ある家とは繋がらない位置に建物を建てる離れ増築の2パターンがあります。
この記事では「増築」と「離れ」の違いや、庭を潰して増築した場合の活用方法、増築にかかる費用について解説していきます。
「増築」と「離れ」の違い
余った庭のスペースに部屋を増やしたいとき、イメージするのが「増築」や「離れ」です。増築には、元からある家に部屋を増やす増築と、元からある家のほかに建物を建てる離れ増築には、以下の違いがあります。
【増築】
- 現在ある建物を壊さずに部屋を増やす
- 建物の床面積を増やす
【離れ】
- 現在ある家とは繋がらないスペースに建物を建てる
どちらも分類は「増築」で、離れは新しい建物を作るにしても「新築」には当たりません。離れ増築をする際には、守らなければいけないルールがあります。
庭を潰して増築した場合の活用方法
庭を潰して増築した場合の活用方法は、主に以下の3つがあります。
- 書斎、作業場
- 子供部屋
- サンルーム
書斎、作業場
自分の趣味に没頭できる書斎、仕事に集中できる作業場です。家族と過ごす時間以外に、自分の趣味に没頭したい人もいるでしょう。そんなときは、書斎を作って自分の時間を過ごすのも必要です。
また、在宅勤務があり自宅で仕事をする機会が多い人は、仕事に集中できる作業場として離れを作るのが向いています。
子供部屋
子供の場合、リビングにおもちゃを持ってきて遊ぶ家庭は珍しくありません。家族が集まるリビングに、おもちゃがいっぱいになって足の踏み場もないこともあるでしょう。そんな場合は、離れを増築するのではなく、リビングの隣に子供部屋を増築することで、子供が遊ぶスペースを確保します。
子供が小さいうちは遊び部屋として、1人で眠れるようになったら両親の寝室にするなど、使い方を自由に変えることができます。
サンルーム
洗濯物を干すのに困っている場合は、サンルームの設置をおすすめします。たとえば、ベランダやバルコニーはあるけど虫や花粉の付着に困っている人、何らかの事情で部屋干しを余儀なくされている人です。
サンルームを作れば、太陽をたっぷり浴びて洗濯物を乾かすことができます。また、天候に左右されず、室内で家族全員分の洗濯物を乾かすことが可能です。
「増築」と「離れ」の費用
こちらでは、現在ある建物を壊さずに部屋を増やす場合の増築と、現在ある家とは繋がらない位置に建物を建てる離れ増築の費用について解説していきます。
増築の費用
既存の建物に繋げる増築ですが、100〜400万円ほどの費用は必要です。これは部屋の広さにもよりますが、4〜6畳程度でしたら200〜250万円ほどの費用がかかります。
サンルームを設置する場合は、100万円以下で施工できます。スタンダードタイプで安い価格なら、50万円前後での増築も可能でしょう。
離れの費用
たとえば、庭にプレハブ小屋などで離れを作る際の費用なら、6畳程度で150〜250万円ほどの費用が必要です。10畳、15畳と部屋が広くなれば、当然費用は高額になっていきます。
また、木造や鉄骨造の場合は、さらに費用が高くなります。順番で言えば「鉄骨造>木造>プレハブ造」で、それぞれ50〜100万円ほど高くなると思ってください。
さらにトイレやミニキッチンなどを設置する場合は、水回りの工事が必要です。水回りにかかる費用は、以下を参考にしてください。
- 洗面台:10~50万円
- トイレ:15~70万円
- 浴室:50~150万円
- 台所:50~100万円
※値段はあくまで目安であり参考です。
水を飲んだり、ちょっとした料理を作ったりするなら、台所を作るよりも冷蔵庫とカセットコンロを置いた方が、安い費用で済みます。
庭に「離れ」を作る際の注意点
庭を潰して「離れ」を作る際は、以下の3つに注意してください。
- トイレ、台所、浴室の全てを揃えるのはNG
- 事前に自治体へ相談する
- 容積率超過はNG!建ぺい率を確認
トイレ、台所、浴室の全てを揃えるのはNG
「離れ」も「増築」の一部ですが、部屋を作ったり建物を建てたりする際には制約があります。それは「トイレ、台所、浴室の全てを揃えてはいけない」ということです。建築基準法では「一建築物一敷地の原則」という、1つの敷地内には1つの建物しか建てられない決まりがあります。
つまり、既に生活ができる家があるのに、離れのみで生活できる住宅が同じ敷地内に存在すると「一建築物一敷地の原則」に反します。そのため、母屋を使用しなければ生活できない部屋であることが、離れを建てる際の絶対条件です。
事前に自治体へ相談する
離れを増築する際はトイレ、台所、浴室の全てを揃えてはいけませんが、台所くらいは設置してもかまいません。
全てを揃えてはいけないので、台所とトイレが備わっていて、浴室だけない場合も問題ありませんが、このような判断は自治体によって異なる場合があります。
そのため「離れに台所とトイレ、もしくはトイレと浴室が欲しい。」という場合は、自治体判断になるため、事前に相談して了解を得てください。
容積率超過はNG!建ぺい率を確認
「一建築物一敷地の原則」により、1つの敷地内には1つの建物しか建てられません。そのため離れを増築する際は、建ぺい率や容積率を確認しなければいけません。
【建ぺい率】「敷地面積」に対する「建築面積」の割合
【容積率】「敷地面積」に対する「延床面積」の割合
家を建てる際の資料で、敷地内の建ぺい率と容積率の限度、そして現在の自宅がそれぞれ何%なのかを調べましょう。それによって、増築できる建築面積や延床面積が分かります。
庭に離れを増築するならコンテナハウスという選択肢も
庭に離れを設置するなら、コンテナハウスという選択肢もあります。20フィート(8畳程度)のコンテナハウスなら本体料金、内装やドア・窓の設置、電気を母屋から繋げて、総額で130〜150万円ほどの費用で済みます。
プレハブ造よりも安い価格で離れを設置できる可能性があるので、ぜひ参考にしてください。