トレーラーハウスで宿泊施設を開業!必要な営業許可について解説

トレーラーハウスは。自然や観光地での宿泊施設に新しい可能性をもたらし、その手軽さや柔軟性から注目を集めています。初期費用の低さやスピーディーな開業が可能な点など、ビジネスとしての魅力も多岐にわたります。
一方で、利用時にはスペースの制約や行政手続きの手間といった課題も存在します。今回の記事では、トレーラーハウスを活用した宿泊施設のメリットやデメリット、そしてスムーズに開業するためのアドバイスなどについて、詳しく解説していきます。
トレーラー ハウスで宿泊施設を開業するメリット
トレーラー ハウスで宿泊施設を開業するメリットは、次の3つです。
- 初期費用や維持費が安い
- スピーディーに開業できる
- 営業場所の移転が可能
初期費用や維持費が安い
トレーラーハウスを利用した宿泊施設の開業は、コスト面で大きなメリットがあります。建物の新築や改装に比べ、トレーラーハウスは初期費用が抑えられるため、低予算で事業を始めることが可能です。
また、移動可能なため土地の固定資産税が発生せず、維持費も軽減されます。さらに、メンテナンスが簡単で費用も少額に抑えられるため、運営コストの低減が可能です。
これにより、経営者は効率的かつ持続的な宿泊事業を展開しやすくなります。
スピーディーに開業できる
トレーラーハウスを使った宿泊施設は、スピーディーに開業できる点が魅力です。従来の建築物と比較して、設置や準備に要する期間が大幅に短縮されるため、短期間で運営を開始できます。
特に、土地の条件や建築規制に左右されにくく、移設可能な設計のため、柔軟な対応が可能です。
また、完成済みのトレーラーハウスを導入すれば、カスタマイズの手間を減らせる点も利点です。
建築工事と違い、トレーラーハウスの製造は早ければ約2〜3ヶ月で1台が完成するため、開業までにそれほど時間がかかりません。
営業場所の移転が可能
トレーラーハウスの宿泊施設は、営業場所を移転できる柔軟性があります。固定建築物とは異なり、トレーラーハウスは移動可能な設計です。
そのため、需要の高いエリアや季節による集客の変動に応じて、簡単に場所を変更できます。
これにより、観光地やイベント会場など、収益が見込める立地へ柔軟に対応可能です。また、土地の契約終了時にも大がかりな撤去作業を必要としないため、効率的な運営が実現します。
トレーラー ハウスで宿泊施設を開業するデメリット
トレーラー ハウスで宿泊施設を開業するデメリットは、次の3つです。
- 1室の間取りや床面積が建築物に比べ狭い
- 建築行政、保健所、消防署等とのやり取りに手間が掛かる
- 基礎工事がないため、強風の影響を受けやすい
1室の間取りや床面積が建築物に比べ狭い
トレーラーハウスで宿泊施設を運営する際のデメリットとして、1室の間取りや床面積が建築物に比べて狭いことが挙げられます。
限られたスペースでは、家具や設備の配置に制約が生じ、利用者の快適性が制限されるかもしれません。
特に家族連れや長期滞在の利用者にとっては、狭さが不便に感じられることもあります。このため、間取りの工夫や収納スペースの最適化が必要不可欠です。
建築行政、保健所、消防署等とのやり取りに手間が掛かる
トレーラーハウスを用いた宿泊施設の開業には、行政機関との手続きが複雑で時間がかかります。
建築基準法に適合させるための確認や、保健所での衛生管理の承認、さらに消防署による防火対策の審査など、多岐にわたる調整が必要です。
これらの手続きは専門知識や多大な時間を要し、スムーズに進まない場合もあります。そのため、事前準備と専門家への相談が成功の鍵となります。
基礎工事がないため、強風の影響を受けやすい
トレーラーハウスの宿泊施設は基礎工事を必要としないため、強風の影響を受けやすいというデメリットがあります。
固定された建築物と異なり、トレーラーハウスは軽量かつ移動可能な構造のため、台風や暴風などの悪天候時に安定性が課題となる場合があります。
このため、設置場所の選定やアンカー固定といった強風対策が必要です。特に日本のように台風が頻発する地域では、安全性の確保に十分な配慮が求められます。
旅館業法の許可について

宿泊施設を運営する場合、施設の規模や種類に合わせて、次の3つの許可を取得することが旅館業法で定められています。
- ホテル営業、旅館営業許可
- 簡易宿泊所営業許可
- 下宿営業許可
ホテル営業、旅館営業許可
宿泊施設を運営するには、用途に応じて「ホテル営業許可」または「旅館営業許可」が必要です。これらは旅館業法に基づいており、保健所への申請が必須となります。
ホテル営業許可は、主に簡易的な宿泊施設やビジネスホテルなどを対象とし、基本的に浴場や共有スペースを設けない施設に適しています。
一方、旅館営業許可は、温泉旅館や伝統的な宿泊施設に多い形態で、共用浴場や食事サービスの提供が含まれる場合に求められます。また、許可取得には施設の衛生基準や防火対策の適合が条件です。
簡易宿泊所営業許可
「簡易宿泊所営業許可」とは、相部屋形式や簡易的な宿泊設備を提供する施設に適用されます。保健所での手続きが求められ、衛生基準や防火設備の基準を満たさなければいけません。
また、客室ごとの面積や収容人数に関する条件も確認できます。低コストで宿泊提供が可能なため、観光地やバックパッカー向け施設に向いていますが、許可取得時の詳細な要件への対応が重要です。
下宿営業許可
「下宿営業許可」とは、長期間にわたり宿泊と食事を提供する施設に適用される許可です。保健所への申請が求められ、施設の衛生基準や安全基準を満たす必要があります。
また、主に住居として利用されるため、宿泊施設とは異なる基準が適用されることがあります。
さらに、提供する食事の衛生管理にも注意が必要です。この許可により、学生や単身者向けの長期滞在施設を安心して運営できます。
旅館業法以外の許可について
旅館業法の許可以外に、飲食物を提供する場合は「飲食店営業許可」が必要になり、大浴場を設ける場合は「公衆浴場許可」が必要になります。
飲食店営業許可を取得するには、「食品衛生責任者の設置」と「営業許可証の取得」の2つが条件です。
また、トレーラーハウスとは別に大浴場を設ける場合は、「公衆浴場許可」が必要かどうか確認しましょう。
宿泊客のみを対象とする大浴場等に関しては、公衆浴場法に基づく許可取得はいりません。しかし、スーパー銭湯のように宿泊客以外も入浴する場合は、公衆浴場法に基づく許可が必要です
トレーラーハウスで宿泊施設の営業許可申請する際の留意点
トレーラーハウスで宿泊施設の営業許可申請する際の留意点として、次の3つの申請や設備について覚えておいてください。
- 保健所の申請
- 消防署の申請
- 浄化槽の設置
保健所の申請
トレーラーハウスで宿泊施設を営業する際、保健所への申請が重要なステップとなります。申請時には、衛生基準を満たすための設備や運用方法を明確にする必要があります。
具体的には、客室の換気や排水システム、トイレや洗面所の配置が基準に適合しているかを確認します。
また、施設が食品を提供する場合には、調理場の衛生管理も重点的に審査されます。これらの要件に対応することで、スムーズな許可取得が可能になります。
消防署の申請
トレーラーハウスで宿泊施設を営業する際、消防署への申請は重要なプロセスです。申請の際には、防火設備の設置や避難経路の確保が審査対象となります。
具体的には、消火器や煙感知器などの設置が必要であり、施設の構造が消防法に適合しているかを確認します。
また、トレーラーハウスの移動性により、周辺環境との安全性にも注意が求められます。これらを適切に準備することで、安全基準を満たして営業許可を得ることが可能です。
浄化槽の設置
トレーラーハウスで宿泊施設を営業する際、浄化槽の設置が重要な留意点です。固定建築物と異なり、トレーラーハウスでは排水を適切に処理する設備を独自に整える必要があります。
特に、排水基準を満たした浄化槽を設置することで、周辺環境への配慮と法令遵守が求められます。
また、設置場所によっては地下水や地形の条件を考慮しなければなりません。浄化槽の適切な設置と維持管理により、スムーズな営業許可の取得が可能となります。
【おすすめ】トレーラーハウスと相性の良い宿泊施設

メリットとデメリット、営業許可を踏まえた上で、トレーラーハウスと相性の良い宿泊施設は次の通りです。
- キャンプ場、グランピング場
- 期間限定のイベント会場
- 季節限定の観光地
トレーラーハウスは、自然豊かなエリアや観光地に向いている宿泊施設のタイプとして最適です。
例えばキャンプ場やグランピング施設など、アウトドア体験を重視する利用者に好まれる傾向があります。
また、移動可能な特性から大規模なフェスなど、期間限定のイベント会場や季節限定の観光地に設置することで、フレキシブルに対応できるのも魅力です。
さらに、小規模でアットホームな宿泊体験を提供したい個人経営者にも適しています。
【結論】トレーラーハウスで宿泊施設を開業するなら行政書士に相談を
トレーラーハウスで宿泊施設を開業するなら、旅館業法に強い行政書士に相談をするのがおすすめです。
旅館業法に強い行政書士なら、専門知識や経験が豊富で、トレーラーハウスを使った宿泊施設の開業に尽力してくれます。
旅館業法の許可について、保健所や消防署の申請、浄化槽の設置までのノウハウがあるため心強いです。
行政書士を選ぶ場合は、コミュニケーション能力で判断しましょう。疑問や質問をぶつけて、ちゃんと的確に答えてくれるか、先回りしてアドバイスしてくれるか、合う合わないとかを見てください。
それから、過去の実績で判断するのもポイントです。過去に何件の依頼を扱ったか、どんな場所の許可を取得したかなどを確認しましょう。