トレーラーハウスで飲食店を始めるメリットとデメリット!営業許可についても解説

近年では都内でもキッチンカーによる、飲食店を見かけるケースが珍しくありません。移動が容易いのがキッチンカーの強みですが、営業地域の保健所の許可が必要で、給排水設備や衛生管理などの基準をクリアしなければいけません。
移動の柔軟性を保ちながら、給排水設備や衛生管理などの基準をクリアしやすいのが、トレーラーハウスです。トレーラーハウスは、キッチンカーよりも内部スペースがあり、限られた場所でも飲食店を長期間経営することができます。
今回の記事では、トレーラーハウスの飲食店について、キッチンカーとの違いからメリット・デメリットについて解説します。
トレーラーハウスの飲食店とは?キッチンカーとの違い
トレーラーハウスを利用した飲食店とは、車両として扱われるトレーラーハウスを店舗として活用し、飲食物を提供する形態のことです。
一方、キッチンカー(フードトラック)は、調理設備を備えた自走可能な車両で、主に移動販売を目的としています。
トレーラーハウス飲食店の特徴

トレーラーハウスは基本的に特定の場所に設置され、固定店舗として機能します。必要に応じて移動は可能ですが、頻繁な移動を前提としていません。
キッチンカーと比較して内部スペースが広く、調理設備や客席をゆったりと配置できるため、提供できるメニューの幅が広がります。
また、トレーラーハウスは車両扱いのため、建築基準法の適用外となる場合があります。市街化調整区域といった、新しい建築物が作れない場所でも設置が可能です。
※ただし、設置場所の確保や関係法令の確認が必要です。
キッチンカーの特徴

キッチンカーは、移動販売がメインです。自走可能な車両のため、イベント会場や人が集まる場所へと自由に移動し、その場で調理して販売を行います。
トレーラーハウスとは違い、車内スペースが限られているため、提供できるメニューや調理設備に制約があります。
営業する地域ごとに保健所の営業許可が必要で、給排水設備や衛生管理などの基準を満たす必要があります。
トレーラーハウスとキッチンカーの主な違い
トレーラーハウスとキッチンカーの主な違いは、主に次の3つです。
- 移動性
- スペースと設備
- 設置と許可
移動性
キッチンカーは頻繁な移動を前提としており、イベントや需要に応じて営業場所を変えることができます。
トレーラーハウスは基本的に固定店舗としての利用が主で、必要に応じて移動可能ですが、頻繁な移動には適していません。
スペースと設備
トレーラーハウスは広い内部スペースを持ち、調理設備や客席を充実させることができます。
キッチンカーはスペースが限られるため、提供できるメニューや設備に制約があります。
設置と許可
トレーラーハウスは、設置場所の確保や関係法令の確認が必要ですが、建築物とみなされない場合が多く、設置が比較的容易です。
対してキッチンカーは、営業する地域ごとに営業許可が必要で、衛生基準などを満たす必要があります。
これらの特徴と違いを理解し、ビジネスモデルや提供したいサービスに応じて、トレーラーハウスかキッチンカーのどちらが適しているかを検討することが重要です。
トレーラーハウスで飲食店を始めるメリット

トレーラーハウスを利用した飲食店は、コスト効率や営業場所の柔軟性、独自性の高い店舗作りなど、多くのメリットを享受できます。
【トレーラーハウスで飲食店を始めるメリット】
- 初期投資の削減と税制上の優遇
- 営業場所の柔軟性
- 移動が容易である
- デザインの自由度
初期投資の削減と税制上の優遇
トレーラーハウスは、従来の建築物と比較して建設コストが低く、基礎工事が不要なため、初期費用を大幅に抑えることができます。
建築物の場合は、建築費用や購入費用の他に不動産取得税が課せられ、それだけで100万円近くの初期投資が必要です。
トレーラーハウスは車両として扱われるため、不動産取得税がかかりません。また、車両扱いのため固定資産税が基本的に課されず、毎年の税負担を軽減できます。
営業場所の柔軟性
車両扱いとなるトレーラーハウスは、市街化調整区域など、通常の建築が制限されるエリアにも設置が可能です。そのため、立地選択の幅が広がります。
たとえば、海の近くや都内の狭い土地など、ターゲットとなる客層に合わせながら出店場所を決められます。営業場所を選択できる幅が広がるため、競合との差別化を図れるでしょう。
移動が容易である
トレーラーハウスは必要に応じて別の場所へ移動できます。たとえば、季節やイベントに合わせて営業場所を変更するなど、柔軟なビジネス展開が可能です。
また飲食店の開店後に、想定していた客層と違ったり、近隣のトラブルに巻き込まれたりするリスクは否定できません。
そのようなケースでも、トレーラーハウスの場合は移動できるため、需要が高く環境の良い場所での再出発が可能です。
デザインの自由度
トレーラーハウスは、内装や外装のカスタマイズが容易で、デザインの自由度が高いです。そのため、独自のコンセプトやブランドイメージに合わせた店舗デザインを実現できます。
インスタ映えなどSNSでの広がりを考えると、デザインの自由度が高いのはトレーラーハウスの強みです。
トレーラーハウスで飲食店を始めるデメリット
トレーラーハウスを利用して飲食店を開業する際には、次のようなデメリットや注意点があります。
【トレーラーハウスで飲食店を始めるデメリット】
- 法規制の確認と遵守
- 設置場所の制約
- 設備の制限
- 維持管理の手間
法規制の確認と遵守
トレーラーハウスは車両扱いとなるため、建築基準法の適用外となる場合があります。しかし、設置場所や用途によっては各種法規制の対象となることがあります。
特に、飲食店として営業する場合、食品衛生法や消防法などの関連法規を遵守する必要があります。事前に所管の行政機関と相談し、必要な許可や手続きを確認することが重要です。
設置場所の制約
トレーラーハウスは移動可能であるものの、実際には設置場所に制約が生じることがあります。
例えば、都市部では適切な設置スペースを確保するのが難しい場合や、地域の景観条例や土地利用規制により設置が制限されることがあります。適切な設置場所を確保するためには、事前のリサーチと関係者との調整が必要です。
設備の制限
トレーラーハウスの構造上、給排水や電気設備、ガス設備などのインフラ整備に制限がある場合があります。
飲食店として必要な厨房設備や空調設備の導入に際して、スペースや設備容量の制約の考慮が必要です。これらの設備要件を満たすためには、専門家との相談やカスタマイズが求められることがあります。
維持管理の手間
トレーラーハウスは車両としての特性を持つため、定期的なメンテナンスや点検が必要です。長期間同じ場所で営業する場合でも、車両としての維持管理義務が発生することがあります。また、気候や環境の影響を受けやすいため、断熱や防音対策などの追加工事が必要になる場合もあります。
トレーラーハウス飲食店で営業許可を取るには?
トレーラーハウスを活用して飲食店を開業する際には、一般的な飲食店と同様に、所管の保健所から「飲食店営業許可」を取得する必要があります。
この許可を得るためには、施設が食品衛生法に基づく基準を満たしていることが求められます。
飲食店で営業許可を取る際の流れ
飲食店で営業許可を取るには、次の流れを参考にしてください。
- 事前相談
営業を予定している地域の保健所に事前に相談し、トレーラーハウスを店舗として使用する際の具体的な要件や手続きについて確認します。
- 施設の設計と施工
保健所の指導に従い、調理場のレイアウトや設備を設計、施工をします。たとえば、適切な換気設備や手洗い設備の設置、内装の衛生的な仕上げなどが求められます
- 申請書類の準備
営業許可申請書、施設の平面図、食品衛生責任者の資格証明書など、必要な書類を準備します。
- 施設検査
保健所の担当者による現地検査を受け、施設が基準を満たしているか確認してもらいます。
- 営業許可の取得
検査に合格すると、営業許可証が発行され、営業を開始することができます。
【注意点】飲食店で営業許可を取る際に
トレーラーハウスは車両扱いとなるため、建築基準法の適用外となる場合がありますが、設置場所や使用方法によっては関係法令の適用を受ける可能性があります。そのため、事前に関係機関と十分に相談し、必要な手続きを確認することが重要です。
さらに、トレーラーハウスを移動販売車として使用する場合は、移動販売に関する別途の許可や手続きが必要となることがあります。営業形態に応じて、適切な許可を取得してください。
詳細な情報や具体的な手続きについては、営業を予定している地域の保健所や関係機関に直接お問い合わせいただくことをお勧めします。
まとめ
トレーラーハウスの飲食店は、建築物よりも初期投資の削減と税制上の優遇もありながら、キッチンカーのように店ごと移動することも可能です。限られたスペースの中で飲食店を開くなら、ぜひトレーラーハウスの利用を検討してみましょう。